「精神世界の鉄人」 エッセイ集

タイトル 発行月日
マスター 11 「菊と刀」 8/4/2001

宮城先生とビスタ先生、そして私達生徒は、学内にある喫茶店に入りました。集まった生徒は、15人ぐらいでした。

昼間だったのですが、最後だということで、先生が皆に、ビールなどをおごってくれました。皆、少し酔っぱらっていました。30分ぐらいたった頃、先生が、

「皆さん、最後に、どうしても話しておきたいことがあります。とても大切なことなので、よーく聞いてください。」

こう言いました。その一年間に、私達は、「大切なこと」を、いやというほど、先生から、教えてもらったのですが、どうやら、「もっと大切なこと」があるようでした。

「私は実は、本を書こうと思ったのですが、やはり、中止にしました。理由は、もうすでに、私は、何冊か本を書いているからです。」

こう話始めました。それから、続けて、

「私は、47年前に、本を書いたことがあります。」

こう言いました。皆、

「えっ?」

「はっー?」

「なにー?」

とビックリしました。なぜなら、先生は、当時、38歳だったからです。計算が合いませんでした。先生は、続けて、

「実は、私は、前世の記憶があります。いいですかー、私は、前世の記憶があるんだー!」

こう大声で、力強く、言いました。皆、本当に驚いて、

「先生、前世、人間だったのですか? 猫か犬だったのですか?」

と一人が、質問しました。すると、ニコニコ笑って、

「人間でしたよ。猫とか犬になるのは、とても難しいのです。挑戦したのですが、あれは、なろうと思っても、なれるものではありませんよ。」

こう静かに答えました。

先生の話によると、先生は、今から25年前、1976年に、アメリカのオクラホマ州にある、オクラホマ州立大学に入学したそうです。当時、23歳だったそうです。

その当時、悲劇があり、ある日、その土地で、「K.K.K(Ku Klux Klan)」という「白人至上主義者グループ」と出会い、リンチされ、友人が、なぶり殺しにされてしまったそうです。その殺した理由が、「日本人のくせに、学問なんかやりやがって!」という、ただそれだけの理由だったそうです。

悔しさと、怒り、悲しみで失意のどん底に落ちていた時、ある精神科医と出会い、「特殊な催眠術(現在の前世療法)」を受けてみたそうです。

そして、自分が前世、どういう人物で、何をやっていたのか、完全に、100%思い出したそうです。

皆が、動揺しているので、隣にいたビスタ先生が、宮城先生に、

「皆、どうして、動揺し、騒いでいるのですか?」

と質問したようでした。宮城先生が、状況を英語で説明すると、

「何を、そんなあたりまえのことで、騒いでいるんだろう?」

と不思議そうな顔をしていました。ネパールでは、「輪廻転生」など、あたりまえのことで、誰もこのような話には、驚かないそうでした。宮城先生は、続けて、

「私は、生まれ変わりという現象を、完全に理解しています。ですから、死生観というものが、全く違います。私は、死ぬということが、楽しみで楽しみでしょうがないのです、次、どこでどういう存在に、生まれ変わるかを考えると、もうワクワク、ドキドキして、夜も眠れないぐらいです。朝起きると、チクショー、今日も死ねなかったかー! とガッカリして、目覚めるのです。」

こう話しました。(笑) 本当に、「死」を楽しみにしているようでした。こういう人物を、私は、生まれて初めて見ました。(笑)

生徒の一人が、質問しました。

「先生、ところで、先生は、いったい、誰だったのですか?」

先生は、もうニコニコ笑って、

「君達が、一年間、使ったテキストの本を見てください。」

こう言ったので、カバンから、本を取り出して、見てみました。

「菊と刀」という題名で、作者は、「ルース・ベネディクト」というアメリカ人で、女性人類学者でした。「何がいいたいのだろう?」と思っていると、

「このルース・ベネディクトという人物は、私はよく知っています。親兄弟よりも親しい間柄にあります。」

こう言いました、それから、英語で、

「I’m Ruth Benedict! (私が、ルース・ベネディクトです)」

こう言いました。なんと、私達は、一年間、そのテキストの作者である、ベネディクト本人から、講義を受けていたのです。感動しました。先生は、

「それでは、皆さん、私は、ネパールへ旅立ちます。もしかしたら、病気で死ぬかもしれませんが、私が死んでも、いつかまた、どこかで、会いましょう、では!」

こう言って、解散しました。

先生は、「人種差別」を無くす為に、’70年、’80年代に、アメリカ中を講演して回り、私達にも、そのことを、口すっぱく言っていたのですが、それは口先だけではなく、本当に、魂の深いところから、「人間は、魂の部分で、皆、平等だ」と語っていたのだということに、その時、初めて気が付きました。

先生は、最後に、「私達は、本当は永遠の存在なのですよ」という最も大切な「真理」を教えて、去っていきました。

喫茶店から出ると、風が、私の頬を、やさしく通り過ぎていきました。その風は、いままでのどの風よりも、やさしかったことを、今でも覚えています。

「そうか、私達は、永遠の魂をもっていたんだ!」

その「あたりまえのこと」を、生まれてから24年ぶりに、思い出していました。

1991年、24歳の春のことでした…。

次回は、「輪廻転生」について、すこし考えてみます。

<参考>

ルース・ベネディクト(Ruth Benedict)

1887−1948

女性、詩人、人類学者 コロンビア大学教授

1887年 ニューヨーク生まれ

1909年 ヴァサーカレッジ卒

1919年 コロンビア大学入学

1944年 「菊と刀」執筆

対日戦争終結を目前にして、日本の戦後処理政策のため、アメリカ陸軍局の委託のために書かれた本が、「菊と刀」です。ベネディクト女史は、主に、日本人収容所の日本人にインタビューすることで、日本人の研究をしたそうです。一度も日本の地を踏むことなく、1948年に、病気で亡くなったそうです。

 

 

 

 

 

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